ピーターコーン祭りの混乱・危機・再生
ピーターコーン祭りの目玉は、ウェートサンドン太子入城行列だ。
ジャータカ物語の最後の場面が演じられている。
それは、人間や精霊らが、布施業を成就して自国の城に戻るウェートサンドン太子を祝って連なっていく、というシーンである。
太子を演じるヂャオ・ポー・グアン(男性シャーマン)は、若い担ぎ手による神輿に乗って、家から寺まで行列する。
行列では皆、大騒ぎである。
人間・精霊・守護霊・森の民。
全てが混ざり合って、カオスになる。
詳しい様子はコチラの動画を見ていただければと思う。
こうした混乱は、ヂャオ・ポー・グアンの神輿が寺に入ること、すなわち入城が象徴的に実現されることでおさまる。
カオスによる共同体の象徴的な危機は、仏法を背景にもつ男性シャーマンによって克服されるのである。
こうして新しい日常へと再生されるといえよう。
かつて山口昌男は『学問の春』のなかで、「文化の創造性というのは元々、危機を排除するのではなく危機に直面する技術である」と述べたことがある。
その文脈で考えると、ピーターコーン祭りもまた、男性シャーマンを中心とした儀礼集団による象徴的な危機の創出とその克服を実践する1つの技術としての文化である、といえよう。
ちなみに、写真で踊っている青い服をきた男性。
これは、7-8年前に「未来のピーターコン祭りを担う青年の話。」で取り上げた青年だろう。
なんとも、立派になられたものだ。
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