捲糸儀礼と共食を終えると白い服のおっちゃん、おばちゃん達は次々と着座しはじめた。
そして、数人のおっちゃんが、ジャオポーグアンの家にぶら下げられていたとあるモノをおろす。
「なんだろうか?」と、ドキついてしまう。
おっちゃんたちは和気あいあいとしたムードでそのモノを取り出す。
儀礼というと荘厳な雰囲気を想像するが、こんなムードも多々である。
それに、ふと外を見れば相変わらずどんちゃん騒ぎ。
おばちゃんたちは踊り続けている。
ぶら下げられていたモノから取り出されたのは、柄シャツの羽織である。
おっちゃん達はそれを白い服の上に羽織った。
わいわいと楽しそうだ。
「なぜ着替えるのですか?」
近くにいたおっちゃんに聞いてみた。
「これで神々に変身するんだ」
……
ピーターコン祭りは布施太子本生経がモチーフとなっている。
ウェートサンドン王子が自国に戻るとき、国民だけでなく諸神々や精霊達が舞い踊って太子を迎える。
それをもじったものだろう。
仮面をかぶったピーターコンは森の精霊たち。
で、柄の羽織のおっちゃん達が扮するのは太子に従う、諸神々なのである。
柄羽織を羽織ることでそれが示される存在へと変身するのだ。
で、主役のジャオポーグアン。
彼はもちろん羽織ることはない。
一人、別次元の存在である。
ここでの服装は「変身」と「格差」、この両者を表象する重要な役割を果たしている。
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