今日は、4年生の学生による、森鴎外『雁』に関するプレゼンテーションが行われた。
学生は3年生の頃から、文学作品に関しての発表の場を踏んできたので、慣れている。
発表が非常にうまいのだ。
ただ、問題は、発表者に対する質問や議論をする聴衆の学生のほうである。
つまり、発表する文学作品について、あらかじめ読んでこない学生がいて、その子たちが話についていけないということだ。
4年生の文学の授業は、講義だけでなく、学生の自主的な活動を重視するカリキュラムとなっている。
よって、学生による発表とそれについて議論する時間を多く取っている。
そして、学生による発表の日はあらかじめ、その文学作品を全員が読んでくることが条件となるのだ。
発表じたいタイ語でも可としているし、発表される日本近代文学作品もタイ語訳されているものを選んだ。
つまり、学生にとってかなり優しい内容にしているのだが、それでもなかなか読んでこない学生もいる現状があった。
それによって、次第に、読んでくる子とこない子の授業理解や姿勢に大きな差が生じてきたのである。
そこで、今回からはあらかじめ作品を読み、内容に関する質問をいくつか考えて、googleフォームで提出することを義務にした。
提出期限は、発表開始10分前まで。
そして発表が終わると、発表内容についての質問が色々と出るが、それとともにあらかじめ提出してもらった質問もぶつけるのである。
これは、なかなかよかったのではなかろうか。
質問を考えるためには、本をザーとであっても、読まざるを得ないからである。
今回、未提出者が3名ほどいたが、おそらく、出していないことに気まずさを覚えたであろう。
次回の芥川龍之介『羅生門』では、全員が提出することを期待している。
「いやー、色々と質問を提出してくれたね」
「そりゃ、先生が強制したからですよ」
半笑いで言う、冷静な学生の声。
もしかしたら、学生は面倒くさいなあと思っているのかもしれない。
<関連記事>
・日本の中心がカラッポな構造と、タイ人学生への期待。
・ドナルド・キーン先生のご研究はチェンマイ大学生にも受け継がれているはず
・文学史、どんどんマニアックになる学生
・チェンマイ大学日本祭 初日。『古事記』のヤマトタケルの物語劇。
・チェンマイ大学ラグビー部 顧問
鼓舞のクリック、よろしくお願いいたします。
日本語学科の4年生に タイ語の注釈付きのスライドで授業する必要があるのだろうか?
返信削除もし学生に問題がありN3上位以下の実力であるなら 日本語検定試験の勉強など基本的な
ことをされたらいかがですか?
学生はあなたの教養を見せびらかすために大学で勉強してるのではない。
卒業した後の学生の人生も考えてあげたほうがいいのではないでしょうか?
返信削除日本語学科を卒業して日本語が使い物にならない(N3上位以下)学生が卒業後に
どのような評価を受けてるか 実態を調査されたほうがいいのでは。。
ご意見、コメントありがとうございます。
返信削除タイ語の注釈付きスライドで授業はしていません。写真は学生からの質問をカメラで写した僕のパソコン画面です。紛らわしくて、すみませんでした。
それと、学生の名誉のために言うと、学生はみなN2以上なので、日本語能力はすでに高い子達です。みんな、日々、日本語も頑張って勉強して、能力試験対策もバッチリです!
でも、N2やN1は一つの目安。学生たちは日本語はもちろん、アカデミックなことを色々学んでいますので、とても豊かな人に育っています。卒業後は、多角的に物事を考えられる幸せな人生を送ってくれると期待しています。
この度はご意見、ありがとうございました。