日本から短期研修で来ている大学の引率に向かうべく、チェンマイから国境の町メーサーイ行きのバスに乗った。
隣の席には、おばちゃんが座った。
このおばちゃんはチェンマイのバスステーションで、孫風の青年と別れてバスに乗っていた。
「体に気をつけるんだよ」
そんなことを言っていた。
青年と別れた後、おばちゃんは1人になった。
それから何かと僕に話しかけてきた。
容赦のない北タイ語で、かなりわからないところが多かったが、それでもバスの旅っぽい。
ちょっと疲れて、僕は眠った。
すると、おばちゃんに起こされた。
「食べるかい」
スナック菓子だ。
起こしてまで、スナックを勧めるとはなかなかである。
チェンマイからメーサーイまでは道がよくない。
ガタガタ道だ。
それに、カーブも多い。
ということで、ちょっと気持ち悪くなる。
おばちゃんも同じだったのか、スースーするヤードムを取り出した。
ヤードムの液体を指にとり、鼻の周りに塗った。
スーハースーハー、深い呼吸をしている。
僕にも、勧めてきた。
おばちゃんは、僕の指にその液体をつけた。
「鼻の周りに塗るんだよ」
グイグイくるおばちゃんだ。
しかも、そのヤードム、後ろの席の人にも渡している。
グイグイいく、優しいおばちゃんだ。
僕はそのあと眠ってしまって、起きた時にはもうおばちゃんは降りた後だった。
もう二度と会うことはないだろうが、なんだかほっこりとしたのである。
夜9時近く、メーサーイのバス停に到着。
誰もいない、がらんとしたバスステーションでタイを感じた。
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