『君の名は。』を使っての、信仰史の講義。学生の圧巻の視野と洞察。




今学期から新しく開講された「信仰」の授業。

これまで蛇や他界、言霊、穢れ…といった内容を講義してきた。


以前、講義中に『君の名は。』の話になった。

この映画は何かと信仰に関わることが多く出てくる。


そこで、学生らとともに映画を鑑賞しながら、信仰に関係することがらを取り出していくという授業を行った。

学生はやっぱり頭が柔軟で、視野が広いなあと感心した。


「黄昏時と境界性」「糸と結び」「口神酒」「あの世とこの世」といった点は、真っ先に気がついていたようで、声が上がった。

「言霊は何があったか?」という僕の質問についても、すぐに答えがかえってきた。

中でも、主人公三葉が「こんな町いやだー。東京に行きたいー」的なことを言って、次に実際に瀧に入れ替わって東京で目覚めるという、言霊の力。

さらに、その言霊を発した場所が、田舎町の象徴的な境界にあたる鳥居の下で実践された、ということを指摘されたのには驚いた。


映画を見ながら、カリカリとメモをとる学生たちの姿をみて、「頼もしいなあ」と思っていた。

そして、僕の期待以上に多くの点を読み取っていて、驚かされたのである。


ただ彼らが、すぐには気づかなかったことがあった。

それは、三葉と瀧の最後の出会い(というか再会)のシーン。

二人は涙をこぼしながら、

「君の名は…?」

と同時に尋ねて、エンディングロールが流れるところだ。


これが一度授業で行った万葉集の第一の歌、雄略天皇の歌(とされている)と全く同じ意味にあることに、学生たちは気づかなかったのである。


そこで、二人が出会うシーンの映像を流しながら、

「えー、きづかない?言霊の授業で、勉強したことない?」

とヒントを与えた。


「あー、あー」

「あー、あれだー」

「えーと、プロポーズだ!求愛だ!」


皆がほぼ気づき始め、最後に求愛のワードが出たと同時に、RADWIMPSがタイミングよく流れた。

なんともドラマティックに授業が終わったみたいになり、皆で「おー」っとなった。


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