日本から短期留学でチェンマイ大学にきている学生を連れて、チェンマイ文化芸術館と、ランナー郷土史博物館、チェンマイ市歴史館に行った。
担当している「タイの文化と社会」の授業としてである。
そこで特別展としてプラ・ウッパクット(水に宿る神、僧侶)展がひっそりと行われていた。
プラ・ウッパクットはタイ東北部ではジャータカの話を聞く儀礼=ブン・パウェートにおいてお目見えする。
大切な儀礼を守護する、一年に一度だけ見ることのできる特別な神なのだ。
(たとえば、ピーターコーン祭りでは、これを川から招く儀礼が行われたりもする。)
そんなプラ・ウッパクットの特別企画展。
僕は別にマニアでもないので、さらっと見るくらいの予定だったが、すこぶる驚かされた。
様々なプラ・ウッパクットが並ぶ中で、なんとも面白いものを見たからだ。
形象、完全に女性生殖器の象徴の中にこもるプラ・ウッパクットである。
女性が独自のコスモロジーをもち、聖性を兼ね備えた存在であるとする考えは、人類普遍のものである。
ヴァギナの奥に広がる無限の空間。
いわば小宇宙。
そこにこもるプラ・ウッパクット。
これをどのように読み解くか。
背後に無限の広がりをもつというプラ・ウッパクットの秘めたる力を示すのか。
女性の無限の力で守られたプラ・ウッパクットを表すのか。
胎児の出生という神秘とプラ・ウッパクットを象徴的に重ねるのか。
あるいは、水に宿る神であることと、子宮の羊水の中に潜むことをリンクさせているのか。
想像は尽きず、推量するしかわからない。
いずれにせよ古代の人々の思考の深さや多重性に脱帽。
学生のことをそっちのけにして、はしゃいでしまったのであった。
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