朝4時過ぎ、トゥンシームアン寺の境内にて、ジャータカ最後の物語、ヴェッサンダラ本生話の読経が始まった。
ヴェッサンダラ本生話の概要は以前にお話した通りなので、ここでは省略する。
ヴェッサンダラ本生話は、全13章よりなり、僧侶が交代で各章を詩吟する。
<ヴェッサンダラ本生話が記載されている。これを僧侶が読み上げる>
それぞれの章に、スポンサーがつくのは、この儀礼の特徴だ。
スポンサーの代表者は、村や地域のなかから選ばれ、その代表者を3-4世帯でサポートするという構図が多い。
スポンサーとなった代表者は、他村から招いた僧や親戚たちの宿泊所を用意したり、各章の説法が終わるごとに、僧侶にタンブンする役割を担う。
その年ごとによって、スポンサーとなる代表者は代わる。
また、儀礼を行うに際して必要となる道具は、線香・ろうそく各1000本ずつ、蓮の花各種(ブアルアン・ブアパン・ブアサーイ)、ミズアオイ、コルクノウゼンの各花1000本、ビンロウジ1000本、旗1000本である。
さて、物語が始まった。
僧侶によって、詩吟の上手い下手があり、かなり上手い僧侶の時には、鐘がガンガン鳴らされていた。盛り上がってきたところに、「ゴーン」って感じだ。
<かなりの詩吟達者で、皆感動していた>
<僧侶にタンブンする様子>
聴衆者は、基本的に老人が多かった。若者はかなり少ない。昨日のプラ・ウェートサンドンの行列とは大きな差だ。
皆、寺の中でゆったりと僧侶の読経を聞いている。
静かに、ゆっくりと時は流れる。
というか、ゆったり過ぎか。
なにせ、終わったのは夕方の5時過ぎだ。
半日もかけて僧侶の読経を聴くのだから、これは大変だが、実際に聴いていた人びとの顔は、明るくすがすがしかった。
これで人びとは、かなりの功徳を得ることに成功するとともに、未来において弥勒菩薩に会える確率を高めた(ウボン県のブン・パウェート儀礼⑥参照)のであった。
これにて、2010年のウボン県トゥンシームアン寺のブンパウェート儀礼は静かに終わった。
さて、これは、まったくの余談。
今さっき見た、マイクロソフトのブレイス・アグエラ・ヤルカスさんによる”拡張現実地図”プレゼン映像のこと。
地図が3次元的に把握されていて、しかも、その3D画像に、リアルタイムの映像をブロードキャストすることができるらしい。
なんか、映像を見るだけでワクワクさせられる、ものすごい可能性を秘めていそうな拡張現実地図。
世界各地の儀礼や祭礼を研究するに、どのようにいかすことができるかなぁ。
ワクワクして仕方ない。
応援のほど、よろしくお願いいたします
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