鼻水をめぐる公式と、タイの高等教育の大衆化。

タクシン派赤服がおとなしい今日19日は、朝から鼻水が止まらない。

たまに、アレルギー的にこういった日があるのだが、そうすると悩まされるのが、猛烈に腹が減ることだ。

これは、もう、昔っからそう。

もう、腹が減って減って、仕方がない。

鼻水が止まらない=空きっ腹になる、なのだ。

なぜこうなるのか、理由は分からないが、僕の中で、この公式は常識だ。

そして、この常識を他者に話すと、ほぼ100%、「そんな馬鹿な話しあるかい!」と否定されるのだが、過去に唯一、1人だけ賛同してくれた人がいた。

彼の中でも、その公式は常識だったようで、僕が「鼻水が止まらない時ってさ・・・」って言ったとたんに、彼は「空きっ腹になるね」と言った。間髪入れない、あの即答ぶりが、彼の中での常識度を物語っているといえよう。

そんな彼は、今や公正取引委員会に勤めるエリートだ。



さて、そんな鼻水に悩まされながら、今日、愛用のチャリンコをこいで学校へ行ったのだが、途中、パヤタイ駅すぐ近くのWannasorn Buildingというビルから出てきて、交差点を渡る、大勢の子供たちを見かけた。



Wannasorn Buildingの上階には、沢山の塾が入っているのである。




そう、タイ・バンコクでは、塾に通う生徒なんて珍しくもなんともないのだ。昔とは大きく変わったものである。



たとえば、僕はタイ東北部イサーンの村々によく行くが、そこで出会う僕と同世代の人びとは、あまり学歴が高いとはいえない。中卒者が多く、高卒者は学歴のあるほうだ。大卒者にいたっては、めったに会うことがない。

しかし、今現在の村内での学齢にある人びとは、高等教育はもちろん、大学にも進学していることが多い。

実際タイでは、1980年代における中学校への進学率は30%で、アジアの中でもきわめて低い数値だったのに対し、2007年には大学に進学する学生は、学齢人口の30%を超えるに至っているという。(末廣昭『タイ中進国の模索』岩波書店)

これは、タイ政府による、80年代後半以降の中等教育の整備や、90年代以降の高等教育の大衆化を目指した政策実施の結果の賜物だ。

たとえば、タイ政府は、国公立大学の増設や、二年制の教員養成学校から四年制の総合大学への改組を行ったが、それによって、80年代には40校もなかった大学の数は、2007年には145校へと激増したのである。

教育に関わる政策が一定度の成果を収め、学歴社会となったタイ。それを象徴する、学生たちの塾通いの様子を、空きっ腹で悩まされながら僕は、しばし見ていたのである。



ちなみに、今現在タイが抱えている大きな悩みは、卒業後の就職問題だ。大卒者を受け入れる場が極めて少ないのである。

民間の企業なんかも、大卒者よりも、職業学校などで実学を学んだ学生が欲しいというのが本音だ。なぜなら、実学を学んだものはすぐに”使える”し、なにより、タイ社会では、大卒者と高卒者の給料の差は非常に大きく、そのため高給取りの大卒者は敬遠されがちなのである。

「大学を出たのに就職先がない」という新たな問題が発生し始めているタイではいま、教育政策に次ぐ、新たな雇用対策を打ち出さねばならなくなっている時期にあるのだ。

ま、その前に、アピシット首相にとっては、タクシン派赤服の問題が、大きく横たわっているだろうけど。



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