ウボン県におけるブン・パウェート儀礼① ~ブンパウェート儀礼とは~



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          <ブンパウェート儀礼初日の行列の様子>

またまた、久しぶりのブログとなってしまった。

というのも、再度、タイ・イサーンのウボンラーチャタニー県に行っていたので、ブログをアップする機会がなかったのである。

ウボンからバンコクに戻って3~4日経ってから、また再びウボンに行くとは、我ながら、なかなか珍しい動向だ。


ま、それはさておき、今回のウボン県に行った目的は、タイ・イサーン地方の人びとに非常に親しまれている”ブン・パウェート”という儀礼を見るためだった。

ブン・パウェート儀礼の詳細については、実のところ現在、論文としてまとめているところなので、ブログでは何回かに分けて、儀礼の流れと意味を写真とともに簡単に紹介するにとどめたい。

そして、ブンパウェート儀礼の紹介後は、前回と今回のウボンの旅先で出会ったタイ・イサーンの人びとの話について記したい。紹介者の一人目は、”誇り高きニューハーフ学芸員Pさん”を予定している。




さてさて、ニューハーフPさんのことはさておき、今回は、ブン・パウェート儀礼について。

”ブン・パウェート”とは、タイ東北部イサーンのなかで呼ばれている名称で、タイのその他の地域では、”テート・マハーチャート”と呼ばれている。

日本語に直訳すると、”ジャータカ説教祭”。

ジャータカという言葉は、あまり聞き慣れないかも知れない。

ジャータカというのは、仏教の悟りを開いた釈尊(お釈迦様)が、まだ菩薩として修行を重ねていた前世に、それぞれの人生において行った善徳行為のエピソードの数々を集めた仏教物語をいう。

エピソードの数はなんと、547話。

つまりお釈迦様は、最低でも547回の人生を送ったということになる。悟りを開くには、相当の長い年月と、修行の積み重ねが必要だったというわけだ。

そして、547話あるエピソードのうちで、最後の547話目にあたる物語を”ヴェッサンダラ本生話(=布施太子本生)話”という。


この物語の概要は次のようなものだ。

①布施を非常に好むパウェートサンドン王子が、雨を降らすことができる特別な力を持った白象を、日照りで苦しんでいた他国の住民に対して布施をした。それによって、自国の住民から大きな怒りをかい、王子は追放される。

②自国から追放された王子は、妻と2人の子供とともに山の森の中で暮らす。

③ある日、醜い姿をした乞食バラモンが王子のもとにやってきて、2人の子供を布施して欲しいと願い出る。それに対し、王子は、乞食バラモンからの要求を受け入れて、2人の子供を布施する。

④王子の子供を受け取った乞食バラモンは、贅沢三昧を繰り返し、最後は食べすぎで腹が裂けて死ぬ。王子の子供たちは、パウェートサンドン王子の父である国王の元に引き取られる。

⑤これらの様子を天上より見ていたインドラ神は、パウェートサンドン王子に最後の試練を与えるために、先の乞食バラモンよりもよりいっそう醜い姿の乞食バラモンに変身して、王子のもとに行き、王子の妻を布施して欲しいと願い出る。これに対しても、王子は躊躇することなく妻の布施を約束する。

⑥これを受けてインドラ神は、パウェートサンドン王子が完璧なる布施の心を備えたとことを見極め、王子は修行が達成される。

⑦パウェートサンドン王子は、父である国王からの「国に戻ってきて欲しい」という要請を受けいれて、自国へと戻り、国王を継承する。それ以後、国は平和で繁栄し続ける。


以上が、ヴェッサンダラ本生話の大きな流れである。

布施が大好きなイサーンの人びとの心にマッチする話であり、慈悲深いパウェートサンドン王子の振る舞いに涙を流す人もいる。

そんなヴェッサンダラ本生話を、1日かけてじっくりと拝聴する儀礼が、今回ウボンで見てきたブン・パウェート儀礼なのだ。


   <ヴェッサンダラ本生話を拝聴するウボン県の人びと>


実際にヴェッサンダラ本生話を拝聴するのは儀礼2日目なのだが、そこでは、本当に1日かけてじっくりと聴くことになっている。

今回に関していえば、朝4時過ぎから始まって、終わったのは夕方の5時過ぎ。つまり約13時間かけて、物語が語られたわけだ。そんなに長い間聴くのは、大変だと思うが、これでも昔に比べれば短くなったほうだという。


では、なぜわざわざ毎年、そんなに長い時間をかけてヴェッサンダラ本生話を聞かなくてはいけないのか。

それは、ブン・パウェート儀礼初日に読経される”プラ・マーライ経”という仏教説話において理由が説明されている。


   <プラ・マーライ経説法の様子。儀礼初日の夕方から夜に実施>


プラ・マーライ経によると、ヴェッサンダラ本生話を一年に一回聞くことで、将来この世に下生してくる弥勒菩薩に出会うことができるのだ。

それに、この儀礼でヴェッサンダラ本生話を拝聴すれば、沢山の徳を積むことができるとイサーンの人びとは考えていることも理由の一つだ。

そのため、僕が見た限りでは、拝聴し終わったあとの、人びとの顔は一応に明るい。


   <ヴェッサンダラ本生話拝聴後、境内で踊るおばちゃんたち>

ということで、この儀礼はイサーンの人びとに非常に好まれながら、毎年実施されているのである。

ま、実のところ、単純にお祭り騒ぎができるというのも無きにしも非ずだし、もしくは、ヴェッサンダラ本生話を説教する僧侶の謡が心地よくて、イサーンの人びとに好まれているというのもある。

ブンパウェートがイサーンの人びとに好まれる理由は尽きないのである。

では、儀礼の式次第はどういったものか。そしてそれらは何を意味するのか。

それは、次で紹介したい。

(続く)



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