タイ・イサーンで大人気。”同郷の仲間たち(คนบ้าบเดียวกัน:コン・バーン・ディアオカン)”



2 コメント
タイ東北部イサーン。

この地域は、タイの中でもっとも貧しいと言われている地域だ。

イサーンの人びとは、田畑を耕すことを生業とするが、タイが経済社会として成り立っている以上、それだけで生きていくことは困難となっている。

だから、イサーンの人びとの多くは、仕事を求めてバンコクに出て、安い労働賃金の環境下で必死に働く。

バンコクを底辺で支えているのは、彼らイサーンの人びとに他ならないのである。

そんな彼らの悲しみを、逆に明るいテンポで歌うのがパイ・ポンサトーン(ไผ่ พงศธร)、”同郷の仲間たち(คนบ้าบเดียวกัน:コンバーンディアオカン)”だ。




歌詞はこんな感じ・・・。


โอ๊ย..น้อ..นอ...คนบ้านเฮา
オーイ...ノー...ノー...同郷の仲間たちよ

※คนบ้านเดียวกัน
※同郷の仲間は

แค่มองตากันก็เข้าใจอยู่
顔を合わせるだけで分かるのさ

รู้ว่าเหนื่อยแค่ไหน
どれくらい疲れているのか

ว่าหนักแค่ไหน
どれくらいきついのか

บนหนทางสู้
だって、苦労の道を歩んでいるんだ

ยังมีคำปลอบโยน
でも、まだ、慰めの言葉はある

ยังมีคำปลอบใจ
まだ、元気付ける言葉はあるさ

มีคำว่าซำบายดีบ่ให้กันเสมอ
それは、いつでも言い合う「元気かい?」の言葉

เด้อคนบ้านเฮา
同郷の仲間たちよ



อ้ายทิดเคน
ケーン兄さんは

เข้ามาเป็นคนขับแท็กซี่จากร้อยเอ็ด
ローイエット県からやってきたタクシー運転手

เฮ็ดนาได้เอาไปใช้แต่หนี้
田んぼ仕事をやれども借金あって

ตัดสินใจ หิ้วกระเป๋าเดินทางมาสู้กลางเมืองใหญ่เมืองนี้
決心固めて 旅行かばんを抱え 一旗あげるために ここバンコクの大都会へ上京

ได้เจอกันอยู่ร้านลาบหลายที
ラープ(肉のミンチサラダ:イサーン代表料理)屋でよく顔を合わせるね

เป็นจั่งใด๋พี่โชคหมานบ่น้อ
「調子はどうだい?景気はいいだろう?」

※繰り返し


ให้โชคให้หมาน
「いいことがあるようにな」

ให้มั่งให้มี
「お金がたまるようにな」

ให้อยู่ดีมีแฮงอยู่แดงมีฮีเด้อครับพี่น้อง
「いつも元気でな 同郷の兄弟たちよ」



น้องตั๊กแตน
タッカテーンちゃんは

เข้ามาเป็นสาวโรงงานเย็บผ้า
上京して 紡績工場で働く

แรงที่ใช้กับเงินที่ได้ ยังบ่เคยคุ้มค่า
労働と給料は まだまだ見合わず

นักเรียนม.ปลายจากภาคอีสาน
イサーン出身の中卒者は

กลายเป็นแรงงานถูกกดราคา
買い叩かれる労働力

น้องมาซื้อลาบ เฮาได้เว้าจา
タッカテーンちゃんはラープを買いに来て みんなとおしゃべり

จั่งใด๋อดสาเอาก่อนเด้อนาง 
「負けちゃだめだよ、娘さん・・・」 

※繰り返し




歌のテンポの割りに、なんと切ない歌詞だろう。イサーンの抱える現実を物語っている。

で、この歌は、イサーンの人びとに大人気。

イサーンに行けば、一時、必ずと言っていいほど耳にした。しかも、こんなちょっぴり切ない歌詞にもかかわらず、イサーンの人びとは楽しそうに、歌って踊っていたのが印象的だ。子供たちもよく口ずさんでいたものだ。


でも、バンコク出身の人びとにとって、この歌はどうだろう。

こんなことがった。

以前、バンコク出身の大学院生たちとカラオケに行ったのだが、彼らが選ぶ曲は今風の曲が主流。そんな中で、誰かがこの歌を遊び半分で選曲したのだが、誰も歌うことができず、途中で止められていた。

つまり、そんなもんなのだ。

やっぱり、バンコクっ子に、イサーンの人びとの境遇や文化をリアルに実感することはできないのだ。所詮、よく耳にする歌という認識でしかないのである。

そしてそれは、逆にいえば、”同郷の仲間たち”はイサーンの人びとだけがリアルに共有できるものであり、一種のアイデンティティを支えるわけだ。

不遇な環境下に置かれたイサーンの人びとのアイデンティティを支える歌。それが”同郷の仲間たち”なのである。

で、実は、不遇な状況下にある人びとが共有する文化って、歴史的に見ても、大きなパワーになる可能性を秘めている。何かを共有した人びとのつながりあいは、時代を変える原動力になるのだ。

たとえば、今バンコクで大規模なデモ運動を展開しているタクシン派赤服(大半はイサーンの人びと)。まぁ、確かに今は、手詰まりな状況ではありながらも、デモ当初の結集力みたいなものには目を見張る。

イサーンの同郷仲間というアイデンティティに支えられた彼らのつながりあいは、今後どういった社会的意義をもつようになるのかは分かったもんじゃなく、大いなる可能性を秘めていることが、赤服の結集のシーンで十分に示されているのだ。

そういう長い目で見れば、イサーンというアイデンティティを強化する”同郷の仲間たち”は、非常に大きな意味をもっているのかも、しれない。



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2 コメント:

Bigeast at: 2011年11月9日 11:06 さんのコメント...

はじめまして。突然のコメントにて失礼いたします。
「同郷の仲間たち」という曲の和訳を初めて見ました。

長くなりますが、僕の思い出話を書かせてください。

2009年にバンコク旅行をしたときに、バービアでビアシンを飲んでいたら、テレビからこの曲が流れてきました。
なんだか日本の演歌みたいなメロディーがすごく心地よかったので、バービアの女の子に「この曲いいね。」と話しかけてみました。
お互い、つたない英語での会話でしたが...

―この曲はタイの伝統的な音楽?
「違うよ。新しい音楽だよ。」
―新しい?タイのポップミュージック?
「ポップミュージックはもっとアップテンポな曲。これはイサーンミュージック。私はポップミュージックよりこっちが好き。」
―なるほど。俺もタイにはこっちの音楽の方が合ってると思うよ。ノスタルジックで。
「ホント?あなたもイサーンミュージック好き?」
―はじめて聴いたけど好きになったよ。この曲のCDを買って日本で聴くよ。ただ…どうやって買おう。タイ語わからないし。
「じゃあ一緒に買いに行こう!」
彼女は店のママと少し話した後で店を抜け出し、一緒に歩いてセブンイレブンに連れて行ってくれたのですが、CDを置いてなかったり、CDはあってもお目当ての曲が無かったり。
4軒目のセブンイレブンで彼女がついに...

「コレ!コレが一番いいよ!」
―これはいろんな歌手の歌が入ってるの?
「そう!(ケース裏面のタイトルを指差しながら)さっきの曲は1曲目。コレも人気、コレも人気、コレもコレも…。このCDは全部イサーンミュージックで、私はこのCDの歌が全部好き。」
―じゃあコレにする!ありがとう!
「どういたしまして。」(極上の笑顔とワイで)

この話を翌日、バンコク在住の日本人の友達の家で話したら、「セブンイレブンを4件も廻ってくれたなんて、よっぽど嬉しかったんやろーなぁ」と。
彼が言うには、バービアの女の子はイサーン地方からの出稼ぎがほとんどで、お店ではいつも欧米系の音楽ばっかり耳に入ってくるから、部屋に戻ってイサーンの曲を聴いて、田舎のことを思い出したりしてるそうで。
たまたま店に来たタイ語も話せない日本人に「イサーンの音楽が気に入ったから日本で聴くためにCDが買いたい」なんて言われたら、そりゃ驚くし嬉しいだろうなぁ。と。

…こんな経緯で手に入れたCDは、僕の車の中でよく流れています。
Ryotaさんの訳詞のおかげで、思い出のイサーンミュージックのCDをさらに楽しめそうです。
本当にありがとうございました。

タイの水害のニュースは毎日ネットで見ています。
大好きなタイの早い復興を祈って、日本のタイ領事館に少額ですが義捐金を送りました。
タイに住む皆さまの安全を心より願っております。

的外れなコメントな上、長文で失礼いたしました。
ブログの更新、楽しみにしています。

岐阜県大垣市 ทางทิศตะวันออกขนาดใหญ่ より

Ryota Wakasone(若曽根了太) at: 2012年1月23日 19:41 さんのコメント...

すてきなコメント、ありがとうございました。そして、気づくのが大変遅れてしまって、申し訳ございません。なぜか、スパムの項目に入っておりまして、こんなことになってしまいました。ごめんなさい。
イサーンミュージック、僕も好きです。そして、イサーンの人々の優しさも。セブンイレブンを4軒も回ってくれるなんて、確かによほどうれしかったのかもしれませんね。イサーンの人は本当に優しい人が多いと思います。
ところで、僕の父方の実家。大垣市です。荒尾なんですよ〜。w

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