タクシン派赤服の集会を覗く(3)中国正月のお祭りムード高まる周辺。

目と鼻の先でほんの数分前まで、タクシン派赤服による危険のともなう集会が開かれていたのに、ここはこんなにも落ち着いているのか、と感じずにはいられない。



ここはチットロムにあるセントラル・ワールド・プラザ前。さきほどタクシン派赤服による集会があった場所から歩いて3分ほどのところだ。

中国正月(今年は2月14日)を間近に控え、すっかりお祭りムード。

で、さっきまでの緊張感を一切なくし、すぐにワクワクする自分の単純さが、逆に好きだ。

そういえば、今ふと思い出した。

昔、先生とコーヒーを飲みながら話をしていて「お前は本当に単純だな」といわれ、「まぁ、シンプルが一番でしょ」と答えた。すると先生は、「”シンプル”と”単純”は与える印象が違う。”シンプル”というと、数ある中から選択、そぎ落として余分なものがないというニュアンスが強いけど、”単純”というのは馬鹿の度合いが強い」とおっしゃった。

うーん、そうかって妙に納得したものだ。コーヒーの苦味が増した。先生は僕のことをさすがによく分かっている。


それはさておき、セントラル・ワールド・センター前の様子をここに少し紹介して、タクシン派赤服集会の締めくくりとしたい。(あまり関係ない話だが)

まず、セントラル・ワールド・センター前の広場で、一番チットロムの駅に近い場所に設置されていたのが、中国正月の各種イベントが行われると考えられる舞台だ。

僕が見た時点では、舞台において特にイベントが行われていたわけではないが、舞台の奥ではさまざまに形を変える噴水があり、水大好きなタイ人は、ボーと水を眺めていた。



赤服の集会とは無関係な、ゆったりとした平和な時間が流れている。

寅年にちなんだ虎のディスプレイもある。



なかなか、かわいらしい。

そして、そこから伊勢丹方面を足を進めると、今度は何故か数々の花屋が立ち並ぶテントが。バレンタインに向けたものかと思われたが(タイではバレンタインはかなり重要なイベントで、男性が女性に花束ー特にバラーをあげる)、そういった花ではなく、緑でいっぱいだ。



時間帯の問題か、比較的閑散としていた。

さらに足を進める。

今度は、さまざまな食品が並んでいるテントだ。







どれも美味しそうで、ついつい手が出そうになる。

「中国正月で、なぜケバブ?」とかは愚問だ。



またさらに足を進めると、次はチャーンビールの、ビアガーデンが見えてくる。





やはり個人的にはここが一番魅力を覚える。

が、飲まずに帰宅した。



今回の赤服集会、およびその周辺の一場面を見て思うことは、やはりタイ人は平和を望んでいるという、まさに基本的なことだ。

末廣昭タイ 中進国の模索 (岩波新書)にもあったが、タイ国民の大多数は、タクシン派の赤服であれ、それに対立する黄色服であれ、彼らのなりふりかまわずに行ってきている実力行使にうんざりしている。国民は、政治の混乱ではなく、安定を望んでいるのだ。だから、赤服や黄色服の行動は、必ずしも国民の支持を得ているわけではない。

そんな大部分の国民の思いが、集会が目と鼻の先で行われている場所にもかかわらずに流れる、「あまり関係ないやねぇ~」という雰囲気につながっていくのだ。なーんて感じたしだいである。

ま、大爆発などもなく、無事に帰れてよかった。

ちなみに、中国正月では、赤服を着る習慣がある。タクシン派も赤服を着る。かぶってしまうな、などと思っていたら、今年の中国正月はピンクの服の着用を勧めているようだ(バンコク週報)という情報を耳にした。よかった、よかった。

参考
タイ 中進国の模索 (岩波新書)



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