血だった。正直驚いた。
その真っ赤な”しみ”の存在に気づいたのは、コンタクトを入れているときだった。0.5センチ四方くらいの真っ赤な”しみ”が白目に張りついていたのだ。
最初見たときは、タイという土地柄も手伝って、完全にメシに入っていた唐辛子が目に入ったものと思い、必死に指で取ろうとした。でも、その真っ赤な”しみ”は、一向に動かない。
しかも、唐辛子が目に張り付いている割には、まったく沁みない。
まさか血?と思う。
気の小さい僕は、その瞬間から目の前がくらくらする。異国の地で、目から出血なんて・・・。
すぐにグーグルで検索。「白目」というキーワードを入れた時点で、候補として「出血」が出ている。その数、9万件以上。
どうやら、僕と同じ症例で悩む人はかなりいるようだ。その人たちと、精神的な痛みを共有した気になる。
そして、ドキドキしながら、「白目」と「出血」で検索されたページを閲覧する。もうこのときの僕の頭の中はすでに、バンコクの眼科はどこにあるかでいっぱいだ。
最初に見たページには次のようにあった。
「白目部分が一部赤く染まるのは結膜下出血といい、結膜下の小さい血管が破れ出血したものです。思い当たるフシがないことも多く、大体1~2週間で自然と吸収されてなくなり、きれいな白目に戻りますのであまり心配は要りません。イメージしにくいかもしれませんが、結膜というのは、眼の外側なので視力が落ちたりすることもありません。」(『All About健康・医療』より)
あぁ・・・。よかったぁ~。激しい安堵感。
念のため、ほかのページを見るも、やはり同じような記載。
例で出されている写真を見ても、僕の症状とまったく一緒。どうやら、とりあえずは大丈夫なようだ。いやはや、よかった。
とりあえずホッとした気分で、近所にメシに行くことに。
すると、アパートの1階にある食堂で働く兄ちゃんに出会う。はっきりいって、この兄ちゃんは食堂を辞めたのだと思うくらい、ずっと見ていなかった。
実は、彼がいなくて、少々不便な生活を送っていた。
というのも、彼はアパートの住民から注文を受けた食事を、各部屋へもっていく出前担当者なのだ。そんな彼がいなかったので、出前ができず、いつも1階の食堂に自分で取りに行かねばならなくなっていたのだ。
ということで、まずは彼の復帰を喜びたい。
それにしても気になったのは、ふさふさだった彼の頭が、丸坊主になっていたことだ。
「あれ、久しぶりだね。ていうか、髪切ったんだ」
「まぁね、出家してたんだ」
そうか。タイの男性は一生に一度は出家するのだ。
「そうか、それで見かけなかったんだね。僧になったから沢山の徳を積んだんだねぇ。修行生活は大変だった?」
「まぁね。それよりその目はどうしたんだ?いったい」
この目は、修行終えたての人から見ても、目立つらしい(意味分からないけど)。
本当に治るか不安になってきた。
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