ござだけが敷かれた、薄暗い、がらんとした部屋。

冷蔵庫もテレビも、ない。


そんな部屋に1人で住むおばあさんは、我々来訪者を迎えるため、横たえていたござから、ゆっくりと身を起こし、こちらに近づいてきた。

80歳くらいのおばあさんは、体の調子があまり良くないらしい。

我々は、バンコクからの土産を手渡すと、おばあさんはタイ式の挨拶”ワーイ”をして、それを受け取り、部屋の片隅に置いた。


おばあさんとしばし、談笑。

体調が芳しくないおばあさんは、親戚たちの勧めで、モーラム・ピーファー儀礼を受けたという。



モーラム・ピーファー儀礼は、イサーンの村において、病人を治すために行なわれる呪術的な儀礼。

村のピーファー儀礼を行なう女性たち(世襲制)が集まり、踊る。





これにより、天の精霊が女性たちに宿り、病人を快癒に向かわせると信じられているのだ。


僕も以前、ピーファー儀礼を見たが、女性たちはトランス状態になって、踊っていた。





そして、儀礼の甲斐あってか、あれから数年たった今でも、おばあさんは元気だ。

喜ばしい限りである。



しかし、儀礼において踊っていた女性の1人が、儀礼から間もなく、亡くなったらしい。

交通事故だったとか。


人生、分からないものである。



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階段を上って突き当たりの部屋に、イサーンから出稼ぎにきている夫婦は住んでいる。



歳は、40歳に手が届くか、といったところだろうか。



家賃は、月1000バーツ(3000円)ほど。

4畳半くらいの広さで、小さな窓はあるが、トイレ・シャワーはない。



部屋の中には、テレビと食器棚、たたまれた布団だけが置かれている。

その布団に寄りかかりながら、旦那さんはムエタイのテレビ放映を見つめ、時折「オーイ!」などと声援を送る。

奥さんは、水や食べ物を用意する。



僕や友人たちは、奥さんと共に、イサーン料理をカーオ・ニアオ(もち米)でつまみつつ、しばし世間話。

旦那さんも、ムエタイを見つつ、会話に加わる。

ゆったりとした時間が、薄暗い4畳半の部屋に流れる。

笑いは、絶えない。



旦那さんは車の整備士で、奥さんは洋裁の仕事に従事している。

決して稼ぎのいい仕事とはいえない。

そして、稼ぎのほとんどは、イサーンに残してきた子供たちに送金される。



教育費を捻出するために、バンコクに出稼ぎに来た2人。

彼らの生活は、裕福とはいえない。

でも彼らは、底抜けに明るく、そして人に優しい。



帰り際、奥さんが、三輪車に乗った近所の子供の背中を押して、遊んであげていた。

イサーンに住んでいた頃、我が子とあんな風に遊んでいたのかもしれない。



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同世代の、イサーン出身の友達と話をしていると、何気ないところで、育ってきた環境の違いを感じる。



友人の誕生日を祝う飲み会の席で

「子供の頃、誕生日に何かパーティーみたいなことをした?」

と尋ねてみる。

「そうだな。おかずが一品増えたな。で、ロウソクを立ててみたりしたかな。ケーキとかはないけど。当時、村でケーキなんて売ってなかったし。お菓子とかもバンコクに来て初めて食べたしなぁ・・・」



今のイサーンは状況が違う。

もちろん、裕福とはいえないが、それでも村でお菓子はそこら中で購入できるし、子供たちもそれを食べている。

誕生会にケーキを用意する家も見受けられる。


しかし、そんな状況は、友達にいわせれば、ここ10年ちょっとの話。その前までは、貧しいもんだったという。



でも、そんな貧しい子供時代を話す彼らに悲しい感じは漂っていない。

確かに貧しかったけど、いろいろと楽しかったよ、という雰囲気で、明るく話し、当時を懐かしむ。

誕生会の話も、貧しいながらも家族団らん、いつもより一品多いおかずと、仏教用のロウソクをとり囲んだ様子を語っている。



農作業を手伝っているときに、田畑の水牛に乗って遊んでいたら、ズルリと落っこちて、泥だらけになった。痛かったけど、皆で笑いあい、愉快だったなぁ・・・・なんて話を懐かしく、楽しげに話すイサーンの人々が、僕は大好きだ。






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日本から遠く離れた村にいると、ちょっとしたことでも”袖振り合うのも多生の縁”を感じる。



タイーラオ国境付近の村。

バイクを飛ばし、適当な小道に入り込んでみる。



森に囲まれた田舎道。

時折、土で汚れた人びとと、すれ違う。

きっと道は、田畑へと続いているのだろう。



前方に、お世辞にも綺麗な服装とはいいがたいおっちゃんが、ぶらぶらと歩いている。


これはおそらく、彼の横をすり抜けるとき、話しかけられるだろうなぁ。



「オーイ。サバイディ・ボー?(元気か?)」

・・・ホラね。

笑顔で、「サバイディ(元気です)」と答える。


だが、そのあとおっちゃんは、あまりに訛り過ぎたラオ語でまくしたてたので、僕には何を言っているのかよくわからなかった。

笑顔で、その場を後にする。



しばらく進むと、畑作業に向かう夫婦と出会った。

僕は会釈をして、カメラを向けてみる。


男らしく運転しながら微笑む旦那さんと、照れくさそうに少し顔をそむけた奥さんが印象的だ。

なんだか、ほのぼのとさせられる。



この場所には二度と来ないかもしれない。

あまりに適当に走ってきたので、ルートも覚えていないし。

だから、この夫婦に会うこともないだろう。

それでも、たとえ一瞬とはいえ笑顔を交し合い、温かい気持ちになれたことは、幸運だ。



    ”振袖り合うも多生の縁”


日本から遠く離れた地での出会いは、大小問わず、きっと宿世の因縁による、そう信じてやまない。


そういえば、ルアンパバーンの博物館で見た歴代のラオスの王様の写真が僕の祖父にそっくりだった。

僕はもともと、ラオ系の人間だったのかもしれない。

まぁ、分からないけど。



田舎の小道を往来する人々ともう少し触れ合おうと思い、道端に座ろうとしたら、あまりにでかい体と牙をもった蟻たちの姿。


サンダルの僕は、ダッシュでバイクに飛び乗り、その場から逃げ出した。



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   狛犬だな。


セブンイレブンを守護しているかのようだね。



それにしても、タイは本当に、野良犬が多い

そこら中で、ゴロリと寝転んだ犬たちに出くわす。




どいつもこいつもグタッとしていて、可愛いかぎり。



田舎に行けば、猿も一緒に、なんて場面も。


               犬猿!



でも、僕がタイで一番好きな野良犬は、サメット島にいる黒犬と、その兄弟犬たち。



コイツはずっと僕のそばを離れない。

僕が走り出せば一緒になって走り出す。

僕が座っていれば、僕の体に微妙に触れる程度の場所にひょっこんと座る。

観光客の僕にも懐っこいのだ。


時折、こいつらに会いに行きたくなるが、サメット島までは、ちと遠い。



ちなみに、写真はカニの巣穴を掘っているところ。

15分ほど穴を掘り続けて、やっとこさカニをゲット。

そのあと、カニの体を無残に噛み千切っていた。



ちょっと怖かった。



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先日、夜風を楽しみつつ散歩をしていると、思いがけない光景に出くわした。

バイク屋に、車が突っ込んでいたのだ。

現場は、「こんなところでどうやって?」と疑問に思わずにはいられないほど、見通しの良い大通り。




携帯でもいじっていたのか、フルーツでも食っていたか、それともバイクに見とれてそのまま突っ込んでいったのか・・・

何故かは一切不明だが、完全にバイクやへ突っ込んでいたのである。



僕が現場に出くわしたときはすでに、事故を起こしてしまったらしき男が、警察に囲まれて連行されていくところだった。

男はうな垂れつつ、神妙な面持ちで、警察へと続く夜の道に吸い込まれていった。



しかし、怒りがおさまらないのが、突っ込まれたバイク屋のおばちゃんである。



「あいつは、店に突っ込んだのに、なんのお詫びの言葉も無い!」

「あいつは、店の被害を何も考えていない!バイクに傷がついてしまったじゃないか!いったい、どうしてくれるんだ!」

「あいつは、自分のことしか考えていない!・・・・・」



怒号をまきちらす。

周囲の人々は一様に、半笑いだ。

「まぁ、落ち着けよ。事情聴取が終わってからバイクはなんとかしてくれるでしょ」



「いーや、あいつは侘びをいれてない!あいつは本当に自分のことしか考えていないんだ!・・・・」

おばちゃんの怒りは、同じ台詞のリピートで表現される。

そんな怒り心頭のおばちゃんには何を言っても焼け石に水、ということで周囲の人間はひとり、またひとりと夜の町に消えていった。



「自分のことしか考えていない!」と連呼するおばちゃん自身が結局”それ”になっている様子を半笑いで眺めていたら、涼しい夜風が体を撫でた。

タイに訪れる乾季を感じた。



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今日はタイではなく、彦根。


間伐した竹で作られた灯篭が、彦根城下町の宗安寺に並べられ、なんとも幻想的な情景。



「ひこねキャンドルナイト2010」というイベントだ。



キャンドルのやわらかな光が、闇夜に浮かび、道を照らす。




三成の旗印「大一大万大吉」の文字。 


三成生誕450年の節目の年だしね。



井伊の赤備えにちなんだ、赤いキャンドルも並ぶ。 




井伊家の「井」の字も、キャンドルで。




凛と冷えはじめる、晩秋の彦根城下町。

やわらかなキャンドルの光は、いくばくか寒さをやわらげてくれるようだった。

 

「タイのローイクラトン(灯篭流し)はもうすぐだ」と思ったしだいである。


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