車、バイク屋へ突っ込む! タイに乾季の訪れ。



先日、夜風を楽しみつつ散歩をしていると、思いがけない光景に出くわした。

バイク屋に、車が突っ込んでいたのだ。

現場は、「こんなところでどうやって?」と疑問に思わずにはいられないほど、見通しの良い大通り。




携帯でもいじっていたのか、フルーツでも食っていたか、それともバイクに見とれてそのまま突っ込んでいったのか・・・

何故かは一切不明だが、完全にバイクやへ突っ込んでいたのである。



僕が現場に出くわしたときはすでに、事故を起こしてしまったらしき男が、警察に囲まれて連行されていくところだった。

男はうな垂れつつ、神妙な面持ちで、警察へと続く夜の道に吸い込まれていった。



しかし、怒りがおさまらないのが、突っ込まれたバイク屋のおばちゃんである。



「あいつは、店に突っ込んだのに、なんのお詫びの言葉も無い!」

「あいつは、店の被害を何も考えていない!バイクに傷がついてしまったじゃないか!いったい、どうしてくれるんだ!」

「あいつは、自分のことしか考えていない!・・・・・」



怒号をまきちらす。

周囲の人々は一様に、半笑いだ。

「まぁ、落ち着けよ。事情聴取が終わってからバイクはなんとかしてくれるでしょ」



「いーや、あいつは侘びをいれてない!あいつは本当に自分のことしか考えていないんだ!・・・・」

おばちゃんの怒りは、同じ台詞のリピートで表現される。

そんな怒り心頭のおばちゃんには何を言っても焼け石に水、ということで周囲の人間はひとり、またひとりと夜の町に消えていった。



「自分のことしか考えていない!」と連呼するおばちゃん自身が結局”それ”になっている様子を半笑いで眺めていたら、涼しい夜風が体を撫でた。

タイに訪れる乾季を感じた。



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