「先生がここから出て行くらしい、という噂は聞いています。でも僕たち3年は、先生が本当に決めたときに、きっと先生の口からちゃんと話してくれるだろうから、それまでこっちから聞かないでおこうと話してたんです」
ソンクラーンの日。
3年生と水遊びに興じたことは、前回の記事のとおりだ。
その日、水遊びに夢中の女子たちから少し離れたところで、3年の男とサシで飲みながら、「なんか、俺の今後についての噂、すげえ拡がってるでしょ?」と聞いた僕に、彼は冒頭のように答えた。
実は、僕は今、ちがう大学への移動を希望している。
もっと自身の専門に近いことを教えることができる大学への転職。
とはいえ今はまだ、その大学の教員の試験を受けている段階で、未定である。
しかし、1ヶ月ほど前、僕の進路の話は学校に拡がった。
僕としては、一程度の信頼にもとづいて、上司に進路のことを相談したのだが、その数日後には、もう掃除のおばさんまで知っている始末。
掃除のおばさんは学生に聞いたという。
噂の内容は、「すでに他の大学に行くことが確定」していて、しかも「ここを捨てて」という枕詞もついていた。
しかも、噂は「この大学を捨てる裏切り者」という文脈なので、僕は一部の先生からよい目で見られていない状態のときもあった。
でも、まあ、他の先生たちがなんと思おうとあまり構わなかったし、幸い、今は落ち着いている。
(タイ社会の噂は拡がるのも早ければ、落ち着くのも早いのかもしれない)
ただ、僕がつらいのは、学生の耳にも当然のごとくその話は入っていたことだ。
他の大学に行くにせよ、行けないにせよ、ロッブリーでの授業はまだある。
なんとも、変な雰囲気で授業をするのが嫌だった・・・
それに、3年生。
彼らは、僕がここに勤務したときに、入学してきた学生である。
ロッブリーでのスタートが同じという点からすれば、いわば同期。
だから、まだ進路は未定だが、もしここを去ることになるとしたら、卒業まで面倒をみてやることのできなかった彼らに対して、なんとも申し訳ない気持ちになる。
(もちろん、2年生の学生に対しても…)
だから、噂では知って欲しくなかった。
自分の口でちゃんと言いたかった。
だから、噂が広まっている渦中で、冒頭の彼の言葉には助けられたというか、学生の大人の態度を感じた。
僕たち2人は結構、酔っ払っていた。
学生と先生というより、男同士のサシでの飲みという感じ。
僕は、今の正直な気持ちを話した。
「先生がもしどこかに行くとしたら、そりゃあ、さびしいです。
でも、それは先生が決めたことだから、俺はいいと思います。
他の人がなんと言っても、先生が決めた道を進んだほうがいい。
先生。
俺たちは、入学してから先生と一緒にずっと勉強してきたんですよ。
だから先生についての悪い噂が、本当のことかどうかなんて、すぐに分かりますよ」
そういって彼は笑った。
なんだか、いい教え子に恵まれたなと、心から思った。
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これまでのRyotaさんと生徒さん達の関係を見てると生徒さんが尾ひれ背びれのついた噂をそのまま信じるなんて思えないですよ。3年でそういう関係築けたんだから素晴らしいじゃないですか。教え子さん達が一番わかってます、胸張って次にステップアップして下さい。それにしても上司先生すぐしゃべったらダメじゃーん(´_`;)
返信削除胸張ってステップアップしたいところですが、まだ、試験中なんですよ〜。
返信削除かなり難しいので、どうなるかさっぱりわかりません。笑
そして、上司先生。おしゃべりが好きですから。笑
そこを見抜けなかった僕が悪いんです。
父親にも、「同じ結果に持って行くにしても方法がそれぞれある。お前はやり方があまい」と言われました。笑
まだまだ未熟です。