「センセイ。今夜うちにみんな集まって、焼き肉パーティーをするんですけど、来ませんか?」
元気いっぱい2年生の授業の休憩中、とある生徒に誘われた。
焼き肉パーティーか…悪くない。いや、むしろなんとも美味しそうだ。
そこで、もう一人の日本人の先生も誘い、行くことにした。
勤務を終えて帰り道、バイクに3人乗りをする生徒たちとすれ違った。
「センセイ、あとで部屋に迎えに行くからね〜」
”約束の時間”という概念が極めて低いタイ人のことだ。
「あとで」と言ったって、どうせ、相当時間がかかるだろうと、とりあえずシャワーを浴びる。
ところが、どっこい。
「センセイ〜。センセイ〜」
シャワーを浴びはじめてすぐ、扉をノックする音と、生徒の声が聞こえる。
驚くほど早い。”あとで”は、3分後という意味だったのか。
無論、素っ裸な僕。さすがにその格好でドアーを開けると、”変態教師”の名を欲しいままにしてしまう。
「ちょっと待って、今、シャワー浴びてる」
とドアー越しに声をかける。
笑う生徒。
シャワーで笑われるのも意味が分からないが、まあそこはいい。
「じゃあ、センセイ。またあとで来るね〜」
そう言って、外は静かになった。
さて、ここからがタイ人の本領発揮だ。
さっきの”あとで”と違って今度の”あとで”は、1時間待っても来る気配がないものだったのだ。
外はなんだか雨も降りそうになっている。
いったいどうなっているのか。中止なら中止で構わないが、それを伝えてもらわないと外に食事を買いに行くこともできない。
かといって、誰の電話番号も知らない。
かれこれ2時間ほど経とうかというころ、ドアーがノックされた。
「センセイ。行きましょう」
「あったんだ。やっぱり…」
生徒のバイクで5分ほど走ると家に着いた。
完全な一軒家で、イサーンの調査を彷彿とさせるムード。
ゴザの上に焼き肉セットが置かれていて、食事が始まった。
「センセイ。ビール飲みますか?」
「まぁ、どっちでもいいけど、あったらそりゃあ飲むよ」
超・飲みたい!という笑顔満載で言う。屋外で焼き肉。ビールはセットみたいなもんだ。
ということでお金を渡すと、けなげにもひとっ走り行って来てくれた、それはありがたいビールを呑みながら、タイ式の焼き肉を食す。
周りに汁を浸して、野菜やら豆腐、かまぼこなんかがぶち込まれる。
真ん中の盛り上がった部分では、肉がジュージュー焼かれる。
なんとも旨い。
とくに焼き肉の後半にさしかかった時の周りの汁は、色んな味を吸い込んでいてなんとも美味なのだ。
こうして、生徒達とああでもない、こうでもないとしゃべりながら、焼き肉をつついていたら、いつの間にか生徒達も軽い酒を飲みはじめていて、なんだか上機嫌に酔っぱらっている。
いつも教室ではおとなしい子もキャッキャと歌ってる。
何か言っては、みなで爆笑している。
タダでさえ元気いっぱいのクラス。
もし全員にお酒が入ったら…と考えると、なんだかゾッとした。
宴は深夜まで続いた。
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