「世界にただ1つのお祭り」
サラブリー県で最も有名な寺、ワット・プラプッタバートでの祭りー花托鉢祭りーにつけられているキャッチフレーズである。
2001年からはじまったこの祭りは、毎年カオパンサー(入安居)に行われる。
ニュースによると数千人の僧侶に花を托鉢するというから、驚きだ。
「…ちなみに、カオ・パンサーにおいて僧侶に花を献上する寺は、バンコク内では4寺。他県では1つしかないとのこと。それがどこかは、聞き取れなかった。 いかんせん眠気眼だったのだ。」
何とも緊張感のない文章で締めくくられているのが気になるところだが、どうやら「他県の1つ」とやらが、サラブリー県の祭りのようだ。
ここにきて、長年の謎が解かれたのである。(すっかり忘れていたのだが…)
というわけで、まあ、この時点で、祭りのキャッチフレーズ ー世界にただ1つのお祭りー の信憑性が疑われるわけだが、そこは触れないでおいて、せっかくサラブリーのお隣、ロッブリーに住んでいるのだ。
ちょいと、お祭りに行ってみた。
ロッブリーから、バンで20分ほど。あっさりと寺の参道入口に到着である。
参道から寺までは少しあるので、サムローに乗ってみる。
風を切って駆け抜けるおっちゃんの後ろ姿は、なかなかの年季を感じさせる。
渋滞を抜けて、寺に到着すると、人でごったがえしていた。
さすが、有名なお祭りである。
寺の前では花が売られている。
黄色とピンクの花は春らしくて、かわいらしい。
もちろん、実際は、春の陽気とはほど遠い。
こんな感じでセットを購入。
これを一輪づつ、線香とセットで、お坊さんに托鉢するのだ。
人でごった返す中、托鉢できそうな場所を探す。
ちょうどお坊さんがスタンバイしているところが、あいていたので、一緒に始まりを待つ。
「なかなか始まりませんね」
「いろいろと準備しているようだからなあ」
お坊さんは言った。
「君はどこの国の出身だい?」
「日本でございます」
「ほう。そうか。タイ語が喋れるのは、バンコクで仕事しているのかい?」
「いいえ、ロッブリーで仕事をしており…」
一応お坊さんということで至極丁寧な口調を心がけた会話は、先頭のお坊さんが動きだしたことで遮られた。
花托鉢の始まりである。
みなが、道を歩くお坊さんに花を托鉢する。
また、足に水をかけて清めたりもする。
僕も、同じように花を托鉢し、足を清めた。
ものの2分。
僕の托鉢は終了した。
うん、気分はいい。
とはいえ、これで帰るのもなんである。
本堂に行ってみることにする。
日光は容赦なく人々を照らしており、僕は汗が吹き出る。
寺に入ると、お坊さんが聖水を参拝客にふりかけていた。
参拝客は恭しく、それを浴びる。
寺の中は何処もごった返しており、「こりゃ、平日静かなときにゆっくり見た方がいいな」という気持ちに少しなる。
ただ、たくさんの人が並んでいる所が、妙に気になる。
今か今か、と何かを待つ、参拝者達の姿がそこにあった。
僕も一緒に並んでみる。
「中へどうぞ!」
声とともに、人々はきらびやかな内部へとなだれ込んだ。
僕も押されるように入る。
少し、アトラクション気味だ。
なるほど、ブッダの足跡である。
金色に光る足跡は、かなりのご利益が期待できそうだ。
参拝客は、足跡にお金をいれたり、あるいは足跡内の金ぱくを少しとっておでこにつけたりして、お祈りする。
タイでのお祈りの姿は、美しい。
僕も周りの人に従って、おでこに金をつけて、健康を祈願した。
こうしてプラプッタバート寺をあとにし、ロッブリーへと戻る。
「あれ、リョウタ。もしかしてプラプッタバート寺にタンブンに行きました?」
帰宅途中、たまたま道で知り合いに会って、言われた。
「ええ。どうして分かるんですか?」
「そのおでこを見れば、分かりますよ。ははは」
アパートに帰って鏡を見ると、妙にきらびやかな顔がうつし出された。
キン肉マンのでこの「肉」くらい、とまではいかないが、それでもあまりに広範囲にわたってピカピカと光り輝いている。
少し欲張って、付け過ぎたようである。
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