イサーンの”お母さん”との、ゆったり時間。



「リョウタ、いつこっちに来られるんだい?」



イサーンでいつもお世話になっている方に電話すると、なぜかその方のお母さんが受話器口に出て、そう言った。

僕がイサーンで”お母さん”と呼ぶ存在だ。




確かにイサーンには久しく行ってないし、”お母さん”にも会っていない。

「そうだね。近いうちに行くよ。”お母さん”のご飯も食べたいしねぇ」

「いや、バス停の前に新しい店ができたからそこに連れて行ってもらいな。私の料理よりもそっちがいいよ」

「いや、いや。”お母さん”の料理の方が恋しいよ」

「そうなの?あらあら・・・何を用意すればいいのかねぇ」

「カイチアオ・ムーサップ!(ひき肉入り卵焼き)」

間髪入れず答えた。



「そんな簡単なものでいいのかい?笑」

「カナー(カイラン菜)炒めもね!」


正直、パッと浮かぶタイ料理の名前がそれだっただけなのだが、それでも料理を想像して幸せな気分になる。










「まぁ、”お母さん”の料理ならなんでもいいよ。

でもさぁ、”お母さん”の飯はうまいから、ついついご飯が進んで。

イサーンに行くとすぐに太るんだよね・・・」

そのあと、他愛もないことをあれやこれやと二人で話し、受話器を置いた。



日本から遠くはなれた第二の故郷イサーンの土地に住む”お母さん”。

イサーンにいるとき、”お母さん”は僕に対して特別なことをしてくれるわけではない。

盛大にもてなすわけでもなく、いつもの日常の生活をおくり、家事に勤しむ。

それでも僕は”お母さん”の優しい雰囲気が好きだし、時折、何もせず二人でボーと地べたに座ってゆったりと流れる時間がなんともいえない。



そんな存在が遠い異国の地にいることの幸福を噛みしめた。

本当に用事があった息子さんとは一切話さずに受話器を置いてしまったことに気づいたが、まぁ、それはよしとしよう。




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2 件のコメント:

  1. タイにもお”母さん”と呼べる方が居るなんていいですよね~。
    特別なことをしないのはそのお母さんもRyotaさんをホントの
    息子のにように思ってるからなんでしょうね。幸せですね。
    私の住んでいる街にはタイ料理屋さんが結構ありますが
    何故かイサーン地方出身のシェフの方が多い気がします。
    最近ソムタムイサーン風というのを食べましたが干した魚を
    醗酵?させたようなものが入ってました。クセはありますが
    辛さといい、結構パンチがあって私は好きだったなー。
    Ryotaさんもお母さんのご飯で食べたことあるかもですね。

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  2. phimaiさん。
    ソムタムですか。確かにイサーンで食べると、結構クセがあるの多いですね。そして何より辛い!!!僕は辛さにそんなに強くないので、いつも僕専用のソムタムを作ってもらって、食べてます。村人、皆半笑いです。「そんなのソムタムじゃない。子供の食べ物だ」って。子供にも笑われてます。汗
    タイの”お母さん”の存在がいることは、本当に幸せだなぁとつくづく思います。

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