バンコクの巨大ブランコ、「サオ・チンチャー」



その姿はまるで、日本の鳥居。
しかし実はブランコの柱である。




先日、バンコクを自転車で疾走した際に、サオ・チンチャーを見てきた。



サオ・チンチャーとは「ブランコの柱」を意味する。
高さは20m以上もあり、堂々たるものだ。

これが建立されたのは1784年で、ラーマ一世の命による。ラーマ一世は、バラモン教方式の豊作を祈願するブランコ祭りを行うためにこの柱を建てたのだ。


では、ブランコ祭りとはどういうものか?

それは、サオ・チンチャーにぶら下げられたゴンドラに4人のバラモン司祭が乗り、激しくゴンドラを揺らす。そして、サオチンチャーのマスト部分に下げられたお金の入った袋をとるというものだ。






ゴンドラを激しく揺らすことで、インドラ神の降臨を仰ぎ、その年の豊作を祈願したという。

それはまさに、フレイザーのいう類感呪術の儀礼にあたるであろう。(ジェームズ・ジョージ・フレイザー『初版金枝篇』上下)
つまり、豊作で稲穂が風に揺れる様を、ブランコの揺れによって表象することで、それを実現しようというのである。


ま、そうした儀礼実施の理由はどうあれ、なによりも巨大な柱にぶら下げられたゴンドラが、大きく揺れ動くこの祭りは、相当スリリング。当時、大人気だったという。



とはいえ、巨大なブランコを大きく揺らすということで、かなりの危険をともなったことは否めない。過去に幾度となく、ブランコからの落下による死亡事故が起きたという。

そのため、1935年にブランコ祭りは中止を余儀なくされた。


今は、ボーっと、空に向かってそびえているのみ、というわけである。





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