グーグルと中国の対立問題



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12日にグーグルが中国からの撤退を検討していることを発表し、その後21日にクリントン長官が中国のネット問題についてコメントしたことを受けて、中国政府は「米国の価値観の押し付け」、「米国のネット覇権主義」などとして猛烈に批判しているらしい(1/27産経新聞)。

中国の若者や知識人の中には、ネット規制は根本的人権の侵害というクリントン氏のコメントに同調して、グーグルを支持するものも少なくないらしい。そうした国内世論を抑えるために、中国政府は国家戦略として、米国やグーグルを批判していると産経新聞は分析している。

グーグルと中国の対立の問題は、非常に興味深い。国家と企業の間で、”情報”を軸としたこれだけ大きな争いは、これまであっただろうか。


1月27日付け発行のNewsweekの特集も面白かった。

Newsweekの国際版編集長ファリード・ザカリア、ビジネス担当ダニエル・グロス、ジャーナリストのマーチン・ジャクス、テクノロジー担当ダニエル・ライオンズの4人の論考が収められている。

ファリード・ザカリアは、論考“グーグル“民主共和国の断交警告で試される中国の民主化とグローバル化の本気度“の中で、中国が今後本気で世界における真の大国になりたいのならば、対外的な順応性を示すことが必要であると論じる。中国政府のグーグルへの対応のあり方は、中国が未来の世界の中でどのように自己を位置づけようとするのかを示すことになるとしているのだ。

これに従えば、今日の産経新聞の記事にある中国の対応は、順応性とは程遠い。

また、ダニエル・グロスは、論考“自由なき中国に潜む成長の限界”の中で、中国の現状―まだまだ豊かではなく、今後サービス産業が不可欠であり、大規模なイノベーションが必要な国であること―を根拠として、中国政府が「21世紀に繁栄を遂げるためには、優れた『ソフトウェア』が欠かせない。そして優れたソフトウェアをつくるためには、物だけでなく、情報の流通を後押しすることが必要なのだ」と述べている。

ダニエル・ライオンズは、論考“「未来」に勝てる者は誰もいない”の中で、インターネットの本質的な強さを根拠として、中国のような大国であってもそれにかなうはずがないと、はっきり述べている。

三者はいずれにせよ、ネットの可能性を高く評価しているわけだが、そうした見解と根本的に考えを異にするのが、マーチン・ジャクスだ。

彼は、“中国との戦いに勝ち目はない”と題した論考において、長い歴史をもつ中国は根本的に欧米と文化的価値観が異なることを重視し、「インターネットは思想や情報の自由な交換という文化の精髄であり、政府による制約を受けず、その利用は世界に広がっている。これが欧米の考え方だ。だが中国政府は、ネットの検閲や規制は可能だと証明している」と述べている。

中国政府は、中国がこれまで培ってきた秩序の枠組みの中でインターネットを位置づけることができると、マーチン・ジャクスは考えているわけだ。

このようにNewsweekは、グーグルと中国の問題を、多面的に扱っている。

僕自身は、中国が今後世界において存在感をこれまで以上に示したいのだとすれば、グーグルに関する今回の中国の対応は疑問に思う。

歴史的にみても、これまでの先進国の繁栄は、権威主義から資本主義にゆるやかに移行したことにあるわけで、中国政府が頑なに行っている権威主義を基にした情報統制は、その文脈から捉えると、果たしてどうだろうかと思うのだ。

また、情報規制の問題は、クリントン氏が言うように、今後の世界の未来像をどう描くのかということと密接に関わる。つまり、開かれたインターネットの繁栄は、皆が共有しえる知の集合体を有した一つの世界社会になる可能性をもつ未来像が描けるのに対し、各地域によって情報が規制されたインターネット社会においては、まるで世界が分裂した惑星のような状態の未来像が待っているということである。

今の我々が、どういった世界に魅力を感じるか。ワクワクするか。それは当然、前者のような未来像じゃないだろうか。

ただ、中国は、いわゆる我々の常識では通じないようなやり方を平然とやってのけるところが 昔っからある。タイにいる中華系にしても、他国にいる中華系にしても、なかなかの歴史的経緯をもってして、社会に存在感を示してきた。そうした彼らの潜在能力が、怖いといえば怖い。

グーグルと中国の今後の成り行きが楽しみだ。

ところで、ちょっと今回はタイのこととはあまり関係なくなってしまった。

そして、長すぎた!

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