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バンコクからチェンマイへ荷物を送る困難性。

去年末、チェンマイから日本に一時帰国する際、バンコクに寄った。 とある本屋で、本を何冊か買った。 辞書みたいに分厚い本、数冊。 日本に持って帰って、再びタイに持ってくるのは面倒なので、ここからチェンマイに送ってくれないかと尋ねた。 本屋のおっちゃんによると、「明日には送る」とのことだった。 「まあ、どうせ年明けまでチェンマイに帰らないから、そんなに急がなくてもいいよ」 「いや、俺は明日送るから大丈夫だ」 正月を日本で過ごし、チェンマイに戻って2週間以上たっても、まるで本は届かなかった。 おっちゃんに電話をかけた。 「ごめん、ごめん。ちょうど明日送るところ」 それから1週間以上、やはり、まるで届かない。 メールを送った。 「すみませんでした。体を壊していました。明日、倉庫に行って、週明けに送ります」 さすがにばつが悪いのか。文体が丁寧になっていた。 「送ったら、荷物番号を教えてください。追跡しますので」 こうでもしないと、またなんだかんだで送らないと思ったのだ。 数日後、荷物の伝票の写真がおっちゃんから届いた。 番号をネットで調べてみる。 たしかに、「発送済み」になっていた。 お礼のメールを送ったら、👌マークが返ってきた。 なんか、イラっとする。 ま、それでも、よかったと安心したわけだが、それから数日。 まだ届かない。 ネットを見ると、届け先不明としてチェンマイ郵便局でストップしている。 伝票の写真をみなおしたら、チェンマイ大学の住所だけ書いてあって、学部名はおろか大学名すら書いていない。 あれだけおっちゃんに、学部名と学科名を伝えたのに・・・ おっちゃんも、繰り返し確認してきたのに・・・ 仕方なく、郵便局に電話する。 「大学に送ってください。人文学部です」 「送ることはできません、自分で取りに来てください」 まったくもって、意味不明である。 仕方なく、ネットに書いてある郵便局に行く。 家からかなり遠いところだ。 「ここじゃありません、どこどこの支店です」 「あ、そう」 力なく返事して、向かう。 「ここでもありません、どこどこの支店です」 そこは家の近く。さっきまでそのあたりにいた。 本の近くにいたのに、それを過ぎてこんな遠くの支店2つに来ている。 どれだけの苦労をしていることか。 そして、近くの郵便局に行く。 郵便局のおじさんが、倉庫で探してくれている。 別の人はスマホをしている。 僕はそれらを見つめる。 その姿は、かなりの哀愁だ。 やっと出会えた、荷物。 タイの荷物の受け取りは、こんなにも苦労するものだろうか。 いや、すべてはあのおっちゃんの「俺は明日送るから大丈夫」という言葉を真に受けた、僕の読みの甘さにある。 本はずしりと重かった。 (function(d, ...

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逆に緊張の北部タイ・日本語スピーチコンテスト。

北部タイでは毎年、大学生による日本語スピーチコンテストが行われる。 北部タイの各大学から応募した学生たちのうち、数十人が選抜されて、スピーチを競い合うのだ。 1位は、上智大学への留学1年分。 学費も生活費も支給されるということで、上智大学はなんともすばらしい。 2位は、 Bangkok Airways と JAL から、北タイ⇔日本への往復航空券2名分。プラスJCCからのお小遣い1万バーツ。 3位はスマホ・・・ 他にもテレビやら何やらと、多くの賞が用意されている。 学生にとって、なんとも魅力的なコンテストなのである。 さて、今年、北タイの各大学から、スピーチ大会に選抜された学生は全部で20人。 そのうち、僕の大学からは4人が選ばれた。 僕は1人の学生の面倒を主にみた。 去年、学内でのスピーチ大会から面倒をみていた子。 なおかつ、文学史を専攻している学生でもある。 内容は、宝くじについて仏教・信仰を関わらせたものだ。 去年の学内スピーチ大会では真ん中くらいの順位だった。 「内容は面白いが、発音に難有り」 それが去年審査員の方々から主に指摘されたことだった。 この学生は、比較的マイペースな子で、 「一応、去年の原稿を送ってみたら、通っちゃいました、先生~。去年スピーチ大会で覚えたはずだけど、もう全部忘れちゃいましたね。ははは~」 「ま、そりゃそうだな、へへへっ」 僕も元来適当な性格なので、お互い別にあせりもしなかった。 そして、本番1週間前。 あーだ、こーだと直したりしていて、学生は原稿を覚えていなかった。 いや、もっといえば、実は3日前の予行練習のときも完璧には覚えていなかった。 5分以内のスピーチなのに、覚えていないこともあって、7分もかかっていた。 他の3人は完全に仕上げてきている中で、我々コンビだけが出来ていない組だった。 「大丈夫、大丈夫。本番前に仕上げないほうが、逆にいい。トップスピードにのるのは、本番の土曜日。それにあわせていこう」 根拠のない僕の言葉に、学生も「その通りだ」と、深くうなずいた。 お互い、妙な開きなおりがあったのである。 その日から、ようやく2人はギアをいれた感じで、毎日居残り練習をはじめた。 夜には、学生はスピーチを録音して、僕にラインで送った。 次の日に、その録音を2人で確認しながら聞いた。 「おーい、先生。カルチャーショック」 あまりに全ての自分の発音をなおされる学生は、そう言った。 カルチャーショックの語の正しい使い方かどうか、定かではない。 そして、当日。 学生がスピーチをする午後、僕は別のセミナーの司会の仕事があったため、直接応援することはできなかった。 ただ、午前中に学生と会場で会うことはできた。 相変わらず力の入っていない感じで、普通に朝飯を食べていた。 「ま、その感じでがんばれよ。大丈夫、ものすごくうまくなっているよ」 「はい~、OKです。」 なんだか、学生よりも僕のほうが緊張していた感があった。 セミナー司会中も気になって仕方なかった。 何度も携帯を確認した。 もう大会も終わりの頃、ラインがきた。 動画が添付されていた。 なんか色々と手にもって、踊ってる。 「先生!!!!!!!2番目です!2番目!!!!」 メッセージ。 僕はゾワーと鳥肌が立った。 スピーチの様子を動画で見ると、今までで一番の出来だった。 本番に強い子だ。 3日前まで全く出来なかった子が、本番にまでコンディションを高めて2位。 ある意味、ドラマティックだ。 はっきりいって、感心した。 学生と、おめでとうだのなんだのと、メールのやり取りをした。 最後、 「よかったね。セミナー終わったから、今から急いで会場に戻るね」 「いや、先生、もう私たち帰りましたよ。今、焼肉を食べてます」 うーん。この温度差。やはり、マイペースだ。 もしや、JCCからのお小遣い1万バーツでパーと…。 ま、でも、本当におめでとう。 できれば、僕もこのチェンマイ大の面々とともに、写真に写りたかった。 <関連記事> ・文学史、どんどんマニアックになる学生 ・新撰組隊士からスサノオの神へ。チェンマイ大の日本祭。 ・第30回チェンマイ大学日本祭と、わたくしスサノオ。 ・ロッブリーのナライ王に関する学会での発表 ・路上パン、仏像、焼き鳥、角質喰い魚。ごちゃ混ぜバンコク。   ...

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第30回チェンマイ大学日本祭と、わたくしスサノオ。

チェンマイ大学では先日、今年で第30回目となる日本祭が行われた。 日本祭前夜は、何人かの教員陣も夜10時過ぎまで手伝い、主体となった3年生はほとんどが徹夜で準備した。 そして本番。 まあ、結果からいえば、成功したのではなかろうか。 そして、我が文学史グループ。 舞台裏ではのんきなのもだったが、まあ、なんとか終えた。 わたくし、スサノオ。 最後にちょっと出ただけだが、なんか笑われているのが気にならないでもない。 「来年は、スサノオの八岐大蛇退治の話ですな」 周囲から言われた。 毎年、『古事記』を演じるチェンマイ大。意味が分からないが、でも、なかなか面白い。 (function(d, s, id) { var ...