「りょうた。せっかくだから、インラック首相を迎える大学の準備の様子を見に行くか」
昨日の夜、先生たちとお酒を呑み、帰りに車で家まで送ってもらうときニウェート先生に言われた。
実は来週、大学にインラック首相が訪れる。
そのため、大学は大忙し。
厳重な警備体制をしき、かつ、キャンパスの環境を整えなくてはならないのだ。
「いいね。行ってみよう」
僕はニウェート先生に言った。
深夜12時をまわった大学に入り込むということで、少しワクワクする。
静まり返った学校に忍び込む、そう、気分は青春時代だ。
と思いきや、大学内はトラックや、工事人らでとても騒がしい。
電気も煌々とつけられていた。
インラック首相が訪れるという、大学内でいちばん新しいビルに入る。
「ここがインラック首相らが会議を行う部屋だ」
先生が言った。
あ、蛾だ。
部屋を覗いて見ると、ちょうどカーペットの敷きかえが行われていた。
先生によると、首相を迎えるために、全てが新調される。
壁紙も、
クーラーも、
トイレも、
すべてである。
その予算は、僕も聞いたが、とんでもない額だ。
それが政府からの命令で行われている。
「とんでもなく税金の…」
僕だけでなく、先生陣はみな思っているようだが、おおっぴらには言えない。
ある部屋にいったら、ニウェート先生が工事人に妙に歓迎されていた。
渡されるタバコ。
僕にもそれは渡された。
彼らは、仕事をしつつも、夜中ということで、ビールを呑みながら、一服している。
ワイワイと、語り合う先生と工事人。
しばらく談笑し、大学をあとにした。
「工事の人はロッブリーの人たちなの?」
僕は聞いた。
「いや、彼らはバンコクから来ている」
「へ〜。バンコクの人なんだ」
「いや、彼らは全員、イサーンの人だ」
首相を一日迎えるためだけに、大掛かりな工事をしなくてはならない、地方の国立大学。そして、それを担うイサーンの人たち。
なんだか、タイ社会の縮図をみたような、そんな気がした。
ところで、そのイサーンの人たちの日当をニウェート先生から聞いて、少し驚いた。
僕が思っていたよりもずっといい額をもらっていたからである。
なにごとも、イメージだけで決めつけてはだめだなぁ。
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