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新撰組隊士からスサノオの神へ。チェンマイ大の日本祭。

『燃えよ剣』 司馬遼太郎先生の名作。 中学か高校時代に読んで、新撰組にハマった。 高校生のとき、東海道を自転車でこいで、東京から京都に行ったことがある。 その時何気なくルートを外れて小さな寺に入ったが、それは偶然にも近藤勇先生の首塚のあるお寺だった。 これは近藤先生に呼ばれた! 運命的なものだ! と今でも思っている。 大学の時には、天然理心流の剣術もかじった。 そのときの師匠は、あの永倉新八の孫弟子にあたる方だった。 しかし、今は残念ながら他界されている。 さて、そんな僕が、新撰組の羽織を身にまとってファッションショーに出てくれないかと学生から頼まれたのは、去年の日本祭でのことである。 チェンマイ大では毎年、日本祭が行われる。 去年は、日本の様々な服装を紹介するファッションショーが行われ、その中に新撰組隊士のもあったのだ。 で、ガタイと顔がサムライ風という理由だけで、僕は新撰組隊士としてのコスプレを頼まれたのである。 要するに顔が古く、オトコくさいと言われている気がしないでもない。 しかし、学生の頼み。しかも新撰組好きである。快諾だ。 異国の地タイで、まさか新撰組に扮するとは思わなかったで、いい経験だった。       (グローバルニュースアジア 2月14日付記事) 記事になったのは照れくさいが、まあ、いいだろう。 今年もまもなく、日本祭が行われる。 「私たちは『古事記』のイザナギとイザナミの話を劇で表現します。ブースも用意します」 僕が受け持っている文学のやる気満々の学生たちが言ってきた。 タイ人で、『古事記』を演じる学生なんてそういないだろう。 いや、日本人でも、である。 面白い提案だ。 「いいんじゃないかい」 僕はそう、答えた。 「そこで、先生にぜひお願いしたいことがあるんです。先生にぴったりの役をやってほしいんです。それはスサノオです」 彼女たちの目に、僕は一体どんなイメージで写っているんだろうか。 スサノオの神ほど豪快ではないはずだ。 でも、まあ、学生の頼みである。快諾だ。 新撰組からスサノオ。 なかなかの流れ。 記念すべき第30回目の日本祭は、1月26日に行われる。 (function(d, ...

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文学史、どんどんマニアックになる学生

去年から、文学史の授業を担当している。 文学とはあまり縁のない男による、文学史講義。 僕の専門にすり寄せた、すなわち歴史や民俗学的な観点からになりがちなのは致し方ないだろう。 今年の学生は7人の女の子たち。 少人数だが、みなやる気に満ち、活気がある。 「先生、それはつまり、黄泉の国を意味しているわけですか?・・・・」 「先生、『竹取物語』でヒメが竹から生まれてくることの象徴性についてなんですが・・・」 講義を重ねるごとに、なんともマニアックな学生になってきた。 『古事記』を初め、古典にはかなりエロティックな部分が隠されていて、講義は傍から見たら、セクハラな授業にも聞こえないでもないだろう。 しかも、民俗学的な観点から見ていくと、なおさらだ。 しかし、女の子たちはまるでお構い無しに、がんがん意見を言ってくる。 頼もしい限りだ。 後期の授業が、先週から始まった。 本来なら中世から近世の文学を扱うが、前学期の『源氏物語』に関する講義ができなかったので、それからはじめている。 源氏の君とそれを取り巻く女性たちの人間模様、心模様。そして、もののあわれ。 学生たちはわーきゃー騒ぐ。 光源氏に腹をたてて、女性に同情してみたり、罪な関係と妊娠に「あれー」なんて騒いでみたり。 あーだこーだと意見を言って、議論し、吸収している。 いやはや、頼もしい学生たち。 僕も大いに勉強させてもらっている。 (function(d, ...

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日タイ修好130周年記念「日本美術のあゆみ ―信仰とくらしの造形―」展のオープニングー・セレモニー

去年末、日本に一時帰国するに際し、チェンマイからバンコクに寄って、久しぶりにゲーテ先生にお会いした。 一年以上ぶりだが、あいかわらずエネルギッシュで、あたたかい。 先生が子供の頃からよく食してきたという中華料理屋で、おいしい料理をご馳走になる。 子供の頃にこういうものを食したということで、改めて先生の育ちを感じる。 さて、先生はとあるプロジェクトを僕に勧めた。 相変わらずの企画力で、ワクワクさせられる。 「いいですね」 「いいか。よし、じゃあ近いし、早速、国立公文書館へ行こう」 そう言って、誰かに電話をした。 相変わらず、早い。 国立公文書館に着くと、館長が出迎えた。 どうやら、館長に直接電話してたようだ。 プロジェクトの話をすると、館長も協力してくれるとのこと。 ありがたい話である。 「ところで今日は、日タイ修好130周年記念事業のオープニングセレモニーが、バンコク国立博物館でありますよ。一緒に行きませんか?」 タイ文化省芸術局や文化庁、東京国立博物館、九州国立博物館、国際交流基金が主催となった「日本美術のあゆみ ...