教え子
こちらロッブリーにきて、もう2年半以上が過ぎた。
僕が初めて、このロッブリーの教壇に立った時の学生も、ついに会社への実習に行ってしまった。
彼らの講義を受けもつことが多く、また飯やら酒やら、祭りやら、と様々に遊んだ仲なので、なんだか寂しい。
実習を間近にひかえていた頃、彼らをバンコクの図書館へ連れて行った。
目的は卒業小論文の資料調査。
「電車でバンコクに行きたい」という彼らの要望に答えて、向かう。
ロッブリーの駅に集合した彼らは、相変わらずうるさい。
バンコク行きの電車では出発前から、一人の学生が間に合うか否かで大騒ぎ。
バスもワイワイとうるさい。
お目当の本がタマサートがなかったために、急遽、国際交流基金へと向かうトゥクトゥクも同様である。
しかし夕方になって、さすがに疲れた女子たちは、帰りはバンで帰った。
男たちだけ、電車だ。
窓を全開にして、ガタンガタンと大きな音をたてる薄暗い電車の中で、他愛もない話をする。
電車がロッブリーに着いた時にはすっかり夜も更けていた。
ロッブリー駅周辺には、屋台が並ぶ。
そこで、1人の学生と一杯飲んで帰ることに。
自分はこれまで、いつも目上の先生にご馳走になってきた。
それが、逆の立場として振舞わなければならない。
これまでの先生方の所作を思い起こす。
しかし、なかなか、先生方のようにはいかない気がする。
そんなことを思いつつも、気分良くなってきた時、学生が言った。
「先生。僕はあまり勉強を真面目にしてこなかったです。たぶん、もっと真面目にやれば、もっと上手になったけど…。そのことはごめんなさい。
でも、先生とたくさん勉強できたこと、すごくよかったと思っています。本当にたくさん教えてもらいました。ありがとう、先生」
彼はクラスでも1、2位を争う日本語能力。
特に日本語でのプレゼンをさせれば、一番うまかった。
そんな彼がこう言った。
先生と言われることは、今でもむず痒いんだけど、それでも少し泣きそうになる。
彼らが実習から帰ってきたら、卒業論文を指導して、提出をさせて。
そうして、彼らは卒業していく。
最後の挨拶、泣かないでうまく言える自信は、あまりない。
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もうすぐ社会人となる生徒さんからこんな嬉しい言葉、教師冥利に尽きますね~。
返信削除生徒さん達にとってRyotaさんはきっと一生忘れない先生の一人になってますよ、良かったですね。
号泣しながら最後の挨拶になっても、Ryotaさんらしいって生徒さんは思ってくれるのじゃないですか?
Phimaiさん。
返信削除いや。もし号泣したら、きっと笑われますよ。
だから、泣かないように必死にこらえることでしょう。
あまり、自信ないですけど。笑