閉店間際の大型ショッピングセンター・ロータスの電化製品売り場。
人はほとんどいなかった。
あと5分ほどで店が終わろうかというときに、電化製品を見に来る人間はまぁ、確かに少ないであろう。
すると、どこからともなく聞こえてくるタイミュージック。
あまり気にすることなくぶらぶらと歩いていると、時折音がはずれていることに気づく。
うん?と思い、音源に向かっていくと、商品であるCDコンポに勝手にマイクをさして熱唱している店員の姿がそこにあった。
”熱唱”という言葉がぴったりとくる男性店員の姿。
こんな光景、日本ではなかなかお目にかかれない。
ビックカメラやヤマダ電機で、勝手に商品にマイクをさして熱唱している店員を見かける機会はそうないはずだ。
たとえ閉店間際といえども。いや、というか閉店後でさえも。
だが、タイではあまり珍しい光景ではないようだ。
僕以外の幾人かの客は特に気にするそぶりを見せず、電化製品を見つめている。
「こういうところ、タイはやっぱいいよなぁ」なんて思いつつ、しばらく男性店員の熱唱ぶりを眺めていると、その視線に気づいたのか彼はちらりと僕を見やった。
少し照れたような笑みを浮かべる。
僕もそれに笑みで答える。
「そんな照れなくても平気さ」という思いを送った。
すると店員は、さっき以上に熱唱しだした。歌声は明らかに大きくなっている。
どうやら彼の中では、僕の笑みはリクエストと感じたようだ。
一瞬でお互いに分かり合うことは難しいものである。
タイに行きたきゃ
タイに住みたきゃ ポチリとクリックお願いします!
0 コメント:
コメントを投稿