映画『サバイディー・ルアンパバーン2』の中で、主人公と共にくっつきまわっている、生意気だが、どこか憎めない少年。
そんな少年が、落ち着かない表情で
「怖いよ、ここは絶対にピー(精霊)がいる。早く行こう」
なんて言って、仏像を拝むのもそこそこに、外に出て行ったシーンが思い出される。
確かにここは、霊験あらたかなムードが漂っている。
ワット・プー。
クメール様式のヒンドゥー寺院で、世界遺産に登録されている。
その姿は、ラオスの先住民モン・クメール系民族ラオトゥン(山腹ラオ)の人々の、かつての繁栄を象徴するかのようだ。
現在、ラオトゥンは、後からやって来たラオルム(低地ラオ)の人々に追いやられ、山地に暮らしているが、かつて彼らは平地に暮らし、生活を営んでいた。
ワットプーが彼らの精神的な部分を担っていたのだろう。
今はひっそりと、丘の上に建ち、観光者の心を惹きつけている。
ラオス南部の都市パクセーに滞在した僕は、どうしてもラオトゥンの人々が生きた”証”みたいなものが見たくて、ワット・プーに行くことにした。
現地までの地図を持っていなかった僕は、とりあえず、地図を求めてホテルのフロントのお姉さんに聞いてみる。
「これでよければ・・・」
なんとも大雑把な地図。
というか、ホテルの紹介の地図。市街地の中でのホテルの位置を知るためには最高だ。
無論、ワットプーは出ていない。
「実は、ワット・プーに行きたいんだけど、どのあたりかな?」
「うーん・・・・この辺かな」
彼女は少し悩みながら、机の上を指差した。
地図から見切れてしまうほどの距離のようだ。
「遠いの?バイクで行きたいんだけど」
「50キロくらいだから、いけると思うよ。大丈夫、大丈夫。気をつけて」
いい笑顔で見送られた。
まぁ、何とかなるだろう。方向は分かったし。
ということで、市街地パクセーでバイクを借りる。
たどり着くか分かったもんじゃないので、念のため、ガソリンを満タンにする。
タイ・イサーンではおなじみの、お手製のペットボトル・ロートでのガソリン注入。
東南アジアでは広く見られる、ワイルドなガソリン入れ、である。引火は怖いけど。
(続く)
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