先生の授業はとんでもないスケール。文化の細かい話を展開しながら、最後は国家論にまで進めてしまう。
とにかくいつも、「はぁ〜、すげえ」という感想ばかりをもった。
先生が生まれてはじめて大学の教壇に立ったとき、その授業終わりに生徒達から拍手喝采を受けたとか、とある研究大会でプレッシャーに負けて当日発表に来られなかった研究者の代わりになぜか先生が指名され発表し、質疑応答も完璧にこなしたとか(タバコを吸いながらやったらしい。笑)…
とにかく色んな伝説をもった先生だった。
生活もカッコよくて、とにかく偉大な先生だった。
僕も先生には、とてもお世話になった。
授業終わりには必ず呑みに連れて行ってくださった。
「研究者にとって、飲み会ほど大事なものはない。呑みながら話していることが、成果に繋がることは多いんだぞ。いや、むしろほとんどそうだ」
そう言って、みなの前で笑っていた先生。
確かに呑みの席での先生の話は、今も頭にこびりついているものが多い。
「若曽根君。とにかく君はアジアへ行ってこい。僕も、もう少し若ければ、絶対にアジアのことをやっている。とにかくもう、日本の歴史だけみててはだめだ」
呑みの席や調査にご一緒させてもらったときなどに、よくそんなお言葉を頂いたように思う。
そんな先生が亡くなられたという。
僕は今、大学で何コマか授業を担当しているが、そのなかに「日本事情」というのがある。
そこで江戸時代の歴史や文化の話をしているが、どうしても先生のご著書『全集 日本の歴史 別巻 日本文化の原型』を参考にしたくなり、先週末、バンコクの国際交流基金バンコク日本文化センターの図書館に行って来た。
図書館に入って、何処にあるかも分からずとりあえず突き進んで、一番最初に目に飛び込んで来た本。
それが、偶然にも
これは先生が呼び寄せたとした思えない。
「そういえば先生はいつも、『ドクターの学生には無料であげる』と言ってご自分の本を配られていたなぁ。今回もそんな感じだな」
そんなことを思いながら、久しぶりの夜のアヌサワリーを眺めていた。
・一周忌、いつもと同じ帰り道。
・タイ国立大学教員のぶっとい使命感
・初のワイクルー。生徒達に少しだけ敬われてみる。
・イサーンの村の小さな先生。
・タイ研究第一人者からの”贈り物”


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