「タイのバイクの免許を取得すべきだ」と、最近感じ始めていた。
近ごろ、チェンマイの町は警察だらけ。
もし運転するなら必需だ。(当然のことだ)
ということで、取得にむかう。
まずは住居証明書と健康診断書を用意しなくてはならない。
住居証明書はイミグレーションで2日かけて取得する。
かつては500バーツくらいかかったと思ったが、なぜか今はフリーサービスになっていた。幸運である。
健康診断書もとくに何も調べられることなく150バーツでもらえた。
さて、それをもって、チェンマイの運転試験場へ。
試験にはバイクがいるので、試験場に行くまでは無免許で運転するという矛盾が生じることは、まあ、タイらしいということだろう。
初日はひたすら講義やビデオを見たりする。
9時から16時までである。
これが地獄のように暇である。
係員のおばはんは、とんでもなく高圧的な態度で講義をする。
なぜ、タイの公務員はこうも態度が悪いのだろうか。
まったくもって気分の悪い話だ。
2日目。
学科試験を受けにいく。
コンピューターで行われる選択問題が、すこぶる難しい。
内容が、というわけではない。
なんだか日本語の意味がわからないところがあったり、あるいは正解が問題によって変わったりするのだ。
明らかに間違いのものが、コンピューターの中では正解となったりもするのである。
ということで、一発目の試験は41/50で見事に落ちた。(合格点は45)
3日目。
今度こそはと、ネットに上がっている情報をすべて覚えた。
「選択肢のうち、旗と固定だけだったら、固定を選ぶこと。もしそれ以外に高速という選択肢も含まれていたら、旗を選ぶこと」
こんな風に、本当の交通法規はなんなのかわからないが、ひたすら覚えた。
理屈ではなく、ただ覚えるという作業によって、満点をとった。
「満点・・・。簡単なの?」
高圧的な態度のおばはんに聞かれた。
「かなり難しいですよ。日本語の意味と法則だけが」
そう答えた。
これでひと安心。
あとは、実技である。
「実技テストを監視している人なんかいないし、ただ前のバイクについていけば終わり」と聞いていた。
ということで、試験前にこれまた高圧的なおじさんがコース説明をしていたが、僕はまったく聞いていなかった。
みんなが一列になって、簡単なコースを走った。
走り終わると、「そこから後ろは、こっちに来るな、不合格だ!」と言われた。
僕も不合格に含まれていた。
実は、みなが前の人にやみくもについていったことによって、皆そろって一時停止を無視した形になったのだ。
不合格組は並ばされた。
「これが一般道だったら、どうなるんだ!あぶないだろ!」
「はい!」
お説教である。
「もう一度受けたいか!」
みなでそろえて
「はい!」
「今日がいいか!来週がいいか!」
「今日です!」
「もうミスはしないか!」
「はい!」
軍隊のような受けごたえをして、再試験。
こうしてパスしたのである。
そのあとは、70人待ちという尋常じゃない数字をこらえてついにバイク免許を手に入れた。
チェンマイでの取得ということで、パンダの絵もかわいらしい。
なかなかの感動がこみ上げる。
115バーツ。日本円にして300円ちょっとで、免許が取得できた。
感動的な値段である。
正しい交通法規は知らないが、これで堂々と運転できるようになった。
しかし数日後に、近所でノーヘルで捕まった。
正しい交通法規を知らないから、とは言いにくい。
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