距離感



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目的のホテルは、トゥンシームアン公園の近くにある”モンタナホテル”。

僕の持っている『地球の歩き方05-06年版』によると、「450バーツ(約1200円)で部屋は清潔」とある。しかも、僕の記憶が正しければ、2-3年ほど前にウボンに訪れたときに泊まったホテルのはずだ。まずまずの印象を持ったのを覚えている。

ソンテウは、だんだんと薄っすらとした記憶がよみがえるような場所を走り出す。おそらく歩いたことがある地域だ。ホテルも見えてきた。分かった。昔の記憶が完全によみがえった。

ソンテウのブザーを鳴らして、ホテルの目の前で降りた。約5キロくらいの道のり。15分くらいは乗っていただろうか。値段は10バーツ(約28円)。おそらくウボンの市内一律10バーツなのだろう。安いもんだと思ったが、それでも『地球の歩き方05-06』には一律5バーツとあるので、ここ数年で2倍に跳ね上がったようだ。

ホテルに入り、部屋の空き状況を聞くと、完全に、あいていた。

500バーツと600バーツの部屋があり、高いほうは新しく改築したきれいな部屋だという。あまり、ホテルにいない僕はとりあえず安い方の部屋を見せてもらう。タイでは、部屋を見てから宿泊を決定することは、なんら問題ないのだ。

ボーイと共に部屋へ。まったく問題ない。そう感じた僕は、時間がないこともあって即決。


<部屋内。散らかっているのは、僕の性格の問題だ>


<トイレとシャワー>


<ベランダからの景色。中心に見える黄色い塔は、トゥンシームアン公園にある町のシンボル。ろうそく細工がモチーフ>



とりあえずフロントに戻って名前や住所を書き、ついでに、今日の目的地であるウボンラーチャパット大学の位置を聞いた。すると、ソンテウの10か11に乗るか、あるいは歩いても遠くはないという答え。

それで少しホッとして、部屋に戻りシャワーを浴びる。先生と会う9時15分には、まぁ、間に合うだろう。

とはいえ、もうすでに時は8時50分。荷物をバックに詰め込んで、さっそく出発した。

フロントで道筋を確認すると、ホテルを左に出てからまっすぐ。信号5つ目くらいを左に曲がれば大学だとのこと。全然遠くはないという。

タイ人が近いというのと日本人が近いというのは、感覚が違う。タイ人が歩いていけるほど近いというのは、相当近い気がする。というのも、タイ人が歩いていける距離なんてたかが知れているからだ。タイ人はとにかく歩かない。ちょっとした距離でもバイクなどの乗物に乗りたがる。歩くと暑くて疲れるからだ。

だから、ウボンラーチャパット大学も、タイ人が歩いていけるというのだから相当に近いのだろう。そう思って歩き始める。

しかし、歩き始めてすぐに「おや?」と感じる。

信号が見えない。果てしなく遠くに2,3個目が見えるだけで、5個目なんてまったく見えない。どうやら、あのホテルの人が間違えたのだろうと考える。きっと2個目くらいだったんだ。

しかし、2個目に差し掛かっても、それらしき建物は見られない。だんだんと汗が噴出してくる。朝とはいえ、じりじりと日が照り始めてきているのだ。それに、遅れるかもという焦りも加わっての汗だろう。

なんだかんだで15分ほど歩いて不自然さに気づく。一向にそれらしき建物はみられない。まさか道を誤ったのではないかと思い、車屋で車を点検していたおっちゃんに、ウボンラーチャパット大学の場所を聞く。

しかし、道はあっていた。次の信号を左に曲がればあるとのこと。その信号はかなり遠い。

でも、そのおっちゃんは、遠くはないと言った。そうか、さっきのホテルの人も、決して遠くはないことを言いたかったのか。別に近くもなければ、遠くもないといった距離か。

失敗したことに気づき、このままでは遅れると判断。ちょうどトゥクトゥクの上で寝っころがっていたおっちゃんにウボンラーチャパット大学へ行きたい旨を告げる。

おっちゃんは当然のように「80バーツ」と言う。いやいや一律10バーツの町で、しかもトゥクトゥクなら5分もかからない距離で80バーツはないだろう。

40バーツに値切る。それでも高いのだが、ここは仕方ない。でもおっちゃんは「60バーツ」ときた。仕方ない。50バーツで両者がおれて、トゥクトゥクに飛び乗る。

急ぎ、大学へと向かった。



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